油と味のふしぎな関係〜油を減らせば塩も減らせる?

インドカレーに欠かせないのが塩と油。ミシュランを獲得されてるカレー店でも「油はたっぷり!味は塩で決めよ」と言われています。たっぷりのオイルとビシッと決まった塩味で書き込むマトンカレーとか最高ですよね。

カレー屋を始める前、試作に明け暮れていた時のこと。どうにも味が決まらなくて悩んでいました。スパイスの香りが弱い、でも入れすぎると何か違う、なんだろうこれ、と。その時に妻がふと一言。「油なしで作ってみたら?」

無類のラーメン好きの妻は、独身時代よなよな豚の大腿骨を割って72時間かけて豚骨スープを作ったことがあるらしくて、その時えげつない量(ラーメンどんぶり1杯に小さじ1弱)の塩を入れないと味を感じなかったそう。

なぜ豚骨スープに大量の塩を入れないと味を感じにくいのか?気になった妻は論文を調べ最終的には「油が味蕾(味を感じる舌のツブツブ)を被膜し味を感じにくくする」という研究を見つけたそう。

そこで試しに油を使わず、いつものチキンカレーを作ってみたところ、おお!これがイケる。塩もスパイスもいつもより輪郭がはっきりしていて、何より植物油特有の口周りにまとわりつくべっとり感がなかったのです。

もちろん何でも油を抜けばいいというものではありません。最近の研究では、舌は脂肪味を感じることができ、脳はそれを美味しいと感じるという研究結果も出ています。たとえば油脂をほとんど含まない野菜主体のベジカレーなら、油を入れた方が美味しいなと感じます。でもお肉のカレーの場合は、既に美味しいと感じる脂は十分含まれているので、油を抜くという選択肢をとることで、塩や調味料を減らしてもしっかり味わいを感じられるケースもあります。

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